2019年5月8日水曜日

変態ライダー マルク・マルケス考

現役の「変態ライダー」である。
この人だけはバイクに興味のないひとにも伝えねば。

彼はバイクレースの最高峰であるMotoGPに2013年、20才の若さで参戦。で、デビューイヤーにいきなりのチャンピオン。その後、実に6シーズン中5シーズンチャンピオンに輝いたまぎれもない天才ライダーである。

その真骨頂は変態テクニックにある。
下の動画をご覧いただきたい。


2013年、2014年と2シーズン連続チャンピオンとなり、迎えた2015年シーズン・アメリカGP予選での出来事である。

予選終了間際、マシントラブルによりメインストレートで彼のマシンは止まってしまう。残り時間は3分。この時点で予選7位。普通ならここで諦める。ところが彼はピットウォールを飛び越えて全力でピットレーンをダッシュ(動画19秒あたり)。フルフェイスヘルメット着用のままのダッシュがどれだけキツイか。

そのまま一瞬も休むことなくスペア用マシンに乗り込み(動画30秒あたり)、予選残り時間は2分30秒。あとは動画の結末の通りだ。

圧巻は動画2分14秒あたりのコーナーへの突っ込み。あまりのハードブレーキでハイサイドを起こしそうになるマシンを後輪を浮かせて一輪で制御、それでも暴れそうになるマシンを、足で地面を擦ってなだめている。なんと。足を第三のタイヤとして使っているではないか。相手は1000ccのモンスターマシンである。変態という言葉しか思いつかない。

私は1100ccの超弩級のモンスターマシンを駆っていたことがあるからわかる。まともな人間には、こんなことはできない。ぜったいにできない。


しかし、この動画。彼の超絶変態テクニックが最大の売りではない。
「ワンチャンあるなら、どんな状況でも絶対に諦めない」
これこそがチャンピオンの資質なのだ。

【20201016追記】
https://twitter.com/MotoGP/status/1316975631524110336?s=20
2020のフランスGPはレジェンド級の名レースとなった。

すでに変態ライダーマルクは骨折でいない。チャンプポジションにはいったい誰が!?の混戦状態だ。

弟アレックス。2019のGP2チャンプだ。こいつも変態なのか?と鳴り物入りでGP1にやってきたが、はじまってみれば、当初そんな様相もなかったのだが、このフランスGPで変態であることが判明した。ひょっとしたら兄さん以上の鬼神かもしれない。レインコンディションでレースの後半に最速ラップを更新し続けた走りは本物だ。面白くなってきたぞ。


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